ゲーミングPCに限らず、パソコンにとって非常に重要なパーツであるCPU。
一般的にはCore iやCore Ultraシリーズ、AMD Ryzenが有名ですが、IntelにはほかにもXeonという非常に多くの物理コアを持ったCPUがあります。
上位モデルになると60コア120スレッドもあって、ゲーム性能も高そうに見えるので、XeonがゲーミングPCに適しているか気になる方もいるのではないでしょうか?
本記事ではXeonとCore i(Core Ultra)シリーズとの用途の違いや性能について解説。ゲーム向けのGPUを搭載したBTOパソコンも紹介していきます。
そもそもXeonとは?
Xeonとはワークステーションやサーバー向けに開発されたIntelのCPUです。
継続して動かし続けなければならないサーバーや専門的な仕事に使われるワークステーション向けのCPUなので、Xeonは耐久性と信頼性を重視して設計されています。
使用目的が違うため、Intelが開発していますがCore iシリーズとの互換性はなく、専用のマザーボードが必要です。
また、メモリ上で発生したエラーを自動で訂正できる安定性の高いECCメモリにも対応しており、最大メモリサイズはXeon w5-2555Xでも2TBと圧倒的に大きな容量を使用できます。
堅牢で信頼性や安定性に優れているのがXeonの魅力ですが、基本的には法人向けのCPUとなっており、CPU、マザーボードともに非常に高額です。
XeonシリーズはゲーミングPCに不向きか
Xeonシリーズは極端にゲーム性能が低いわけではありませんが、ゲーミングPCにはあまり向いていません。
そもそもXeonはワークステーションやサーバー向けであり、長時間の安定性を重視して作られているため、ゲーミングPCとは用途が異なります。
また、Xeonはコア数が多くてマルチスレッド性能の高さが魅力ですが、クロック周波数がCore iシリーズよりも低くなっており、ゲームに重要なシングルスレッド性能が劣るのもデメリット。
加えて、XeonはCore iシリーズと比べるとCPU、マザーボードともに高額なのでコスパがよくありません。
ゲーミングPCに限らず、パソコンは用途に応じてパーツを選択するものなので、特別な理由がなければCore iシリーズやCore Ultraシリーズ、またはAMD Ryzenを選びましょう。
ただ、予算を度外視して安定性や信頼性を重視したいという場合であれば、Xeonを選択肢に入れるのもありです。
XeonシリーズとCore iシリーズの違い
性能を比較
Xeon w9-3575XとCore iシリーズの後継である最新CPUのCore Ultra 9 285Kとスペックを比較しました。
CPU型番 | コア数 | スレッド数 | クロック周波数 | 最大ブーストクロック | 最大メモリサイズ |
---|---|---|---|---|---|
Xeon w9-3575X | 44 | 88 | 2.2GHz | 4.8GHz | 4TB |
Core Ultra 9 285K | 24(Pコア8 + Eコア16) | 24 | 3.2GHz | 5.7GHz | 256GB |
Xeon w9-3575Xはコア数とスレッド数が非常に多く、Core Ultra 9 285Kが省電力なEコアを搭載しているのに対して全てが高性能なPコアで構成されているのが特徴。
一方で、Xeon w9-3575Xのクロック周波数は2.2GHzとCore Ultra 9 285Kより低くなっています。
最大メモリサイズも圧倒的にXeonのほうが大きいですが、Core Ultra 9 285Kも安定性の高いECCメモリに対応しており、そもそもゲーム用途であれば32GB、多くとも64GBもあれば十分です。
一般的な用途では、Xeonのマルチスレッド性能の高さはオーバースペックになります。
価格を比較
XeonとCore iシリーズの価格差については明確な差があります。
CPU型番 | 参考価格 |
---|---|
Xeon w9-3575X | 708,800円 |
Core Ultra 9 285K | 94,780円 |
Core Ultra 9 285Kと比較すると7倍以上の価格差があり、下位モデルにあたるXeon w7-3565Xでも約59万円と非常に高額です。
Xeonにも4万円台の安価なモデルはありますが、Core i7-14700FやCore Ultra 7 265Fと近い価格にあります。
また、現在であればゲーム用としては最強のRyzen 7 9800X3Dが80,000円ほどで買えるので、ゲーミングPCに搭載することを考えるならXeonのコスパは悪いです。
Xeonは法人向けなので個人が気軽に買える価格ではなく、一般向けのCore iやCore Ultraなどに比べると単品で販売している店舗も少ないため、コスパで選ぶようなCPUではありません。
消費電力を比較
CPU型番 | PBP(ベースの消費電力) | MTP(最大消費電力) |
---|---|---|
Xeon w9-3575X | 340W | 408W |
Core Ultra 9 285K | 125W | 250W |
消費電力にも大きな違いがあります。Xeon w9-3575Xは基本的な消費電力の目安であるPBPでさえも340W、MTPは408Wと高いです。
Xeon w9-3575Xの場合はコア数が44個と非常に多いことや、高性能なPコアのみで構成されており、Eコアがないことも消費電力に影響していると考えられます。
一方で、Core Ultraシリーズは前世代までのCore iシリーズと比べて省電力性能が向上しており、Core Ultra 9 285KでもPBPが125Wと控えめで、実行消費電力も低いのがメリット。
ワットパフォーマンスを優先するのであればXeonよりもCore Ultraシリーズを選ぶのが無難です。
Xeonシリーズ搭載のおすすめPC
TSUKUMO ワークステーションモデル WE5J-A252/WB
フルHD向けのGPUを搭載したTSUKUMOのワークステーションモデル
おすすめ度:3.5
タイプ | ミドルタワー |
---|---|
CPU | Xeon w5-2555X |
グラフィックチップ | Radeon RX 6400 |
メモリ容量 | 64GB |
SSD容量 | 1TB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 1000W |
OS | Windows |
- NoctuaのCPUクーラーを採用
- RTX 5060 Tiまでカスタマイズできる
- より上位のXeonにアップグレードも可能
- 高解像度でゲームをプレイしたい人
「Xeon w5-2555X」を標準搭載したTSUKUMOのワークステーション向けPC。ケースはゲーミングPCのG-GEARと同じになっています。
GPUはエントリークラスの「Radeon RX 6400」を標準搭載しており、カスタマイズで最新のフルHD向けモデルである「RTX 5060 Ti 16GB」や「RX 9060 XT」に変更することも可能です。
ワークステーション向けということでメモリは64GBと標準で大容量なので、ゲームをプレイするならGPUをアップグレードしましょう。
フレームレートやゲーム性能の高さより、安定性を重視したい方におすすめのBTOパソコンです。
TSUKUMO ワークステーションモデル WE9J-R252/WBH
RTX 5070 Ti搭載!カスタマイズ性も高いXeon採用のBTOパソコン
おすすめ度:4
タイプ | ミドルタワー |
---|---|
CPU | Xeon w9-3575X |
グラフィックチップ | RTX 5070 Ti |
メモリ容量 | 64GB |
SSD容量 | 1TB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 1000W |
OS | Windows |
- RTX 5070 Tiを標準搭載
- GPUサポートホルダーを付属
- 10GBASEの有線LANを備える
- コスパを重視したい人
CPUに「Xeon w9-3575X」を採用したTSUKUMOのワークステーションモデル。
Xeon w9-3575Xは44コア88スレッドと非常にマルチスレッド性能が高く、全て高性能なPコアだけで構成されています。
また、上位の60コア120スレッドの「Xeon w9-3595X」や、下位モデルである「Xeon w5-3535X」にも変更できるなどカスタマイズ性も高いモデルです。
GPUにWQHD以上の解像度でゲームをプレイできる高性能な「RTX 5070 Ti」を標準搭載していいるのもポイント。
10Gと2.5Gの有線LANも備えているので、ハイエンドゲーミングPCと近い構成のXeon搭載モデルが欲しい方におすすめです。
パソコン工房 ワークステーション ISoDEs-W100-LX259-VKSXB
128GBのメモリを標準搭載したパソコン工房のXeon搭載モデル
おすすめ度:4
タイプ | フルタワー |
---|---|
CPU | Xeon w7-2595X |
グラフィックチップ | RTX 5080 |
メモリ容量 | 128GB |
SSD容量 | 1TB |
HDD容量 | – – – |
電源 | 1000W |
OS | Windows |
- RTX 5080を標準搭載
- 3年間のセンドバックサポートあり
- 360mmの水冷CPUクーラーを採用
- 価格の安いXeon搭載モデルが欲しい人
26コア52スレッドの「Xeon w7-2595X」を採用したパソコン工房のワークステーションモデル。
ハイエンドGPUの「RTX 5080」を標準搭載しており、高精細な4Kでもゲームをプレイできる性能があります。
CPUとGPUのカスタマイズはできないものの、メモリが標準で128GBと多く、512GBまでアップグレードすることが可能。
また、ケースがフルタワーなこともあり、SSDを追加で1つ、HDDを2つ、合計で4つのストレージを搭載することもできます。
標準で3年の製品保証もつきますが、Xeon搭載のワークステーションは高額な買い物になるので、可能であれば保証を追加するのがおすすめです。
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